『こぶたのポインセチア』フェリシア・ボンド

 みんながいると狭く感じるのに一人だと広すぎるもの――。

 こぶたのポインセチアは両親と六人の兄弟姉妹と住んでいる。大好きな本をゆっくり読んでいられないポインセチアは腹を立てて・・・。

 一人きりになることに成功したポインセチア。最初はお気に入りの場所で大好きな本を読んで大満足だが、やがて家族のいなくなった家は前とは全然ちがう家になってしまったと思う。素敵な家は邪魔だと感じた家族がいてこそ素敵な家だったんだ。

 それがあるからこそ価値があるのに、それがなくなればもっと素敵になるだろうと考えたり望んだりしてしまうことは珍しいことではない。ポインセチアが抱いたような気持になったことは僕にもある。みんなのことが煩わしく感じる気持、一人きりになりたい気持は、人が自立していく過程で大切なものだろう。ただ、人は一人きりで生きていくことはできない。そこのところの解決が難しかったりもする。閉ざした扉を再び開くための方法が、あるいは、開くための勇気がなかなか見つからなくて。

 のほほんとした絵だけれど、ポインセチアの気持や状態がよく分かる絵になっている。また、その絵が次の展開を予想させたりもする。

 おひさまのひかりを「あたたかいバターみたい」に「とろり」と表現していたのはいいなあと思った。(2012.07.02)