2019-03-11から1日間の記事一覧

十二月二十二日

午後三時ごろ散歩に出かけた。風が強かった。旧K町図書館のところから田んぼの広がっている土手のほうへ出て、K川沿い、そしてS川沿いと歩いた。途中側溝の水底に紅葉が敷きつまっていてきれいだった。稲刈りの終わった田は藁色をしていて、カラスがたく…

十二月十九日

NHKで放送していた『さよなら五つのカプチーノ』というドラマを見てから、久しぶりで散歩をした。 冬晴れだった。N台のほうへ行く坂道を歩いていると溝を流れる水のささやかな音をバイクの走行音がかき消していった。外はやっぱり気持よかった。冬の景色…

十二月十五日

大学に通っていた頃、通学途中の道で、自分と同じく通学している学生たちの中で、ふと立ち止まってしまいそうになることがあった。自分はどうしてここにいるんだろう。自分はここで何をしているんだろう。自分は居場所を間違えているんじゃないか。 どこにい…

『神谷美恵子日記』(角川文庫)

神谷美恵子は結婚しないほうがよかったんじゃないかと思う。読んでいていろいろ時代的な限界を感じた。未来の人間から見れば僕や現代に生きる人々にも様々な限界があるだろう。それはいいとかわるいとかいうよりも単に考え方の違いである。この日記は夫によ…

十二月十二日

昨夜から地獄的な落ち込み。昨日は歯の治療だったが、夕食後、歯に被せていた詰め物が取れてしまった。そこからはもうただただ不安と恐怖心で過ごした。しかも日曜はその歯科は休みなので、その不安が今日一日続く。こりゃまた白髪増えるぞ。 ネットで調べる…

十二月七日

気持が弱るとつい他人に頼りたくなる。その頼りたい他人が、僕にはいない。そういう生き方を僕はしてきた。 蛍光灯は部屋をくまなく照らしているようでいて、やっぱり部屋のあちこちに影が潜んでいる。忙しくしているときは気づかないけれど、ふとしたとき部…

十二月五日

若いから不安定なんだろうか。それとも単なる性格か。虫歯のことでこんなに落ち込むなんて。 夕食時、どうしようもない不安というか心細さというか、を感じた。以前にも知っている気持だった。生きることに対する不安、むなしさ。僕が生きてること、家族が生…

十二月一日

気持はだいぶ落ち着いてきたけれど、まだ何かしようというところまでならない。俳句も今週は無理かも。 不安にばかりとらわれている生活は味気ないなあと感じる。気持が不安になってからこうして前より長文を書くようになったのはちょっとした救いだ。今夜は…

十一月三十日

午前十時十五分。快晴。 窓の外は明るい水色の空。ふと、小学生の頃に戻りたいと感じた。あの頃にはあの頃の悩みがあったにせよ、今よりはずっと自由だった。 歯痛以来の不安と憂鬱がまだ続いている。歯医者へはあとどれくらい通えばいいのだろう。歯医者が…

歯痛その後

十二時半頃起床。ヨーグルトとうどんを食べた。 だらだらと新聞を読み、皿洗いをして現在、三時。自室。外は青みがかった灰色の空。時々風の音が聞こえる。色々なことを考える。大体いつものこと。色々。考えても仕方のないこと。考えた後でうんざりすること…

歯痛

一昨日からすごい歯痛。なのか歯茎痛なのか。とにかく昨夜は寝ることもできない痛みだった。 原因は少し前から始めたうつ伏せ寝だと思う。始めて二日目の夜に物凄い痛みを感じて目が覚めたことがあった。そこでやめずに続けたことが悪かった。一昨日の昼ご飯…

西郷竹彦『名句の美学』

俳句を読むのにも書くのにも参考になったのはもちろんだけど、それだけじゃなく文章を読むことについても参考になりそうなことが多かった。(2010.11.22)

石牟礼道子『乳の潮』

とても充実した読書の時間を持てた。そういえば、インターネットで「乳の潮」と検索したらアダルトビデオのサイトがいくつかヒットした。 この本に収められている文章を書いたとき、石牟礼さんはけっこうな歳だと思うけれど、読んでいてずっと感じるのは少女…

踏ん張る

しなやかに踏ん張る。(2010.11.14)

読み方

僕はなんていうか深読みというのができない。詩や俳句の批評って大体がまあ深読みで成り立っているのかなと思ったりする。たとえば「闇」といったって、僕にとってのそれは単に映像的な闇であって、そこに過剰な意味を読み込むことがあまりない。(2010.11.10)

幸田文『木』

幸田文の文章は感情や気持を生のまま伝えてくるようなところが、またそんなふうな表現に辿りついているところがすごい。時々、涙がこぼれそうになる箇所があった。 ただ、一気に読んだせいか、木がもう人になっているせいか、少し疲れた。(2010.11.09)

正倉院展

昨日は母と正倉院展へ出掛けた。外出らしい外出は久しぶり。電車に乗るのも。 正倉院展は僕が思っていたよりもずっと人が多かった。途中でもう頭痛がひどかった。展示品は面白かったけれど。なんとかざんけつの蓮の茎のくねくねしたのは見ることができて良か…

生きるって

生きるってなんでこんな煩わしいんやろ。他の動物は生まれたときからやることが決まっている(思い込み)。しかもそれが自由であるようにさえ見える。人間は自由でいて不自由や。(2010.11.03)

夕暮れ

ベランダに出ると、前の山もその中腹の墓地も淡いオレンジ色の西日を浴びていた。いいなあと思った。静かやなあと思った。そしてその景色と自分の生活が、自分が、かけ離れていることが寂しかった。手すりに目をやると小さな蜘蛛が今日の巣を作り始めていた…

書くこと

書いているうちに最初に思っていたこと感じていたことを忘れてしまう、というか文の流れがもう最初とは違う方向になって結論に辿りつかない。言葉にする過程で微妙なズレが生まれ、ズレたところからまたズレて当初意図したことから離れて。それを無理やり意…

幸せの記憶

夕暮れ時の住宅街を歩きながら、幸せってあるんだろうかと思った。薄闇に包まれた家々を眺めながら、失われて二度と戻らない、あるいはそもそも存在さえしなかった幸せの記憶を思い出していた。(2010.10.27)

この頃は

この頃は、朝はたいてい眠っている。目が覚めたらもう昼だ。夜が遅いから、こうなる。昨日は、またずいぶん遅くまで起きていたから、布団に入ったとき、窓の空は青くなり始めていた。その空を見ていると、僕は懐かしい気持がした。中高生の頃も眠られず、何…