スケッチ

朝の通勤。俺は車を走らせていた。久しぶりに朝から日差しの強い日だった。信号待ちで並んだ車の列に俺も並ぶ。左手にある運送会社の倉庫前の空き地で中年男が何やら作業をしている。男は光を浴びながら黙々と作業している。俺は美しいと思った。その男がどんな男かは知らない。もしかしたらとんでもないろくでなしかもしれない。しかし、それは関係なかった。俺自身の過去を振り返れば、俺は生きるに値しない人間かもしれない。しかし、それも関係なかった。あるいは、この世は生きるに値しないものかもしれない。しかし、それも今はどうでもよかった。ただ、今、俺の目に映っているこの景色は美しかった。