気持のいい夜

 気持のいい夜だ。涼しい風が吹いている。十時前、皿洗いもして、今日の仕事はもう終わった。こんな時間、短いものでもいいから一つでも作品を書くことができたら素敵だろうと思う。書くことのできない僕は、代わりに他人の書いた本を読む。

 ポール・ボウルズ『優雅な獲物』、鴇田文三郎『チーズのきた道 世界のチーズと乳文化探訪』は、どちらも僕を「今ここ」から遠くへ夢見させてくれた。(2011.08.05)