2024-01-01から1年間の記事一覧

スケッチ

朝の通勤。俺は車を走らせていた。久しぶりに朝から日差しの強い日だった。信号待ちで並んだ車の列に俺も並ぶ。左手にある運送会社の倉庫前の空き地で中年男が何やら作業をしている。男は光を浴びながら黙々と作業している。俺は美しいと思った。その男がど…

はたらき

気づくのではなく、気づかされている。思うのではなく、思わされている。

感情

ある事柄に接して私は感情を体験するが、その感情は私のものであって私のものでない。

目が覚める

夜明け前、目が覚めて、ぼんやりと天井を眺めていた。時々、その天井をカーテンの隙間から入ってきた光が、カーテンの隙間の形をした細長い光が移動していく。外を走る車のライトの光がどういう反射でか、そんなふうに室内に入ってくるらしかった。今、この…

なむあみだ

つらいならつらいまんまのなむあみだ 愚かなら愚かなまんまのなむあみだ 苦しいなら苦しいまんまのなむあみだ 悲しいなら悲しいまんまのなむあみだ

墨を磨る(写経道場にて)

硯の陸に水を垂らし、墨を磨る。その静かなはたらき。墨と硯とこすれあう。快いわけでもなく、不快でもない、そのあわいの。透き通っていた水が、だんだんと重い粘り気のある液体へと変わっていく。