三月十二日

 昨日は寒い一日だった。梅林を巡るあいだに体はすっかり冷え切ってしまった。そのせいかとても肩が凝った。今日温かい風呂に浸かり、体を十分に温めた。

 昨日、宮城沖で大地震があった。梅林へ向かう途中、母の携帯電話に弟からメールが来て知った。帰宅してテレビをつけると津波が町へと侵入していく映像が繰り返し流れていた。土を含んだ黒い波が車も家も呑み込んで流れていた。空から撮られたその映像をぼんやりと眺めていた。それは僕に感情の高まりをあたえなかった。一方で被災した人々のインタビューでは、その言葉に心を動かされる自分がいた。俯瞰映像では一人の人間の意思などはもう問題にならない。波が町を呑み込む姿は、ただ自然の現象として人間の感情などを排除して僕の目に映った。人間の無力も何も僕は感じなかった。僕はただ自然の姿を見ていた。(2011.03.12)