十二月二十二日

 午後三時ごろ散歩に出かけた。風が強かった。旧K町図書館のところから田んぼの広がっている土手のほうへ出て、K川沿い、そしてS川沿いと歩いた。途中側溝の水底に紅葉が敷きつまっていてきれいだった。稲刈りの終わった田は藁色をしていて、カラスがたくさん群れていた。ちょうどゴッホのあの絵のようだった。ゴッホをなんとなく思い出しているとその他にもいろいろゴッホの絵を思わせる景色に出会った。この田舎にそんな景色のあるのがうれしかった。ゴッホはアルルを日本のようだと言っていて、それはまあ間違っているだろうけど、ゴッホのアルル時代の絵を見てK町を歩けば、K町はアルルのようだと間違う人がいたっておかしくない。ゴッホは浮世絵を見てアルルを日本的だと感じたのだから。

 K川沿いに土手を歩いていると曇り空に虹が見えた。それから少しして雨がぽつりぽつり幾つか手に落ちてきた。黒い厚みのある雲も出てきていよいよ本降りになるのかなと思っていると今度は陽が差してきた。すぐに雨は去って青い空がやってきた。(2010.12.22)