十二月十七日

 「単純なことさ。何かをしようとするたびに親からあんな態度をとられてみなよ。それもこっちはまだ親の保護を必要としている子どもの立場で。その子はじきに何かをしようなんて思わなくなる。何かしようとすれば親は不機嫌になるんだから。そして、その子は自分が何をしたいのかさえ分からなくなってしまう。その一方で自分の欲望を奪った親に対して憎しみを募らせていくのさ。」

 

 僕はなにも親に自分を分かってくれと要求したわけじゃない。ただ、分かろうとしてくれる態度を必要としていた。けれど、親は決して分かろうとはしてくれなかった。実際、僕はずいぶん情けない思いをして、子育ての本を読んで得た知識を親に言ったりした。それは僕はこんなふうにしてほしかった、いや今でもこんなふうにしてほしいんだという願いからだった。ところが親は「もう子育ては終わった。今さらそんなことを言われてもねえ・・・」

 言ったって虚しくなるだけとは知りながら、僕は時々言わずにはいられなかった。たぶん「言う」ことが必要だったんだ。言い続けながら「もういいや」と心から納得できることが必要だったんだ。

(2011.12.17)