黄昏

 夕暮の紫色の光が差し込んでいるアパートの一室。男が窓辺で熱心に書き物をしている。部屋の物は、時計を除けばみな沈黙し、薄暗がりの中で輪郭を失い始めている。なおも熱心にノートに向かっている男もいつのまにか影になり、今はもう部屋の内部は渾然として、紫の光に溶けこんでいる。部屋の内部はだんだんと渦を巻き始め、部屋はいま消化に専念している。(下書)

 

 幽霊になんかなる気はない。この世に未練はないんだから。

 

 僕は救われたくない。救われるなんて真っ平だ。救いたいなら他のやつを救え。救われたがっている奴はいっぱいいる。僕にはかまうな。あっちへ行け。

(2011.11.13)