十二月十八日

 はじめ僕は木の上に鳥か猿でもいるのかと思った。けれど音のする方向を見上げても何も見当たらない。音はますます大きくなった。僕は怖気づいてしまった。手に持っていた数枚の紅葉した楓の葉を地面に抛り、急いで林を出た。

 少し後で、あれは神様だったのかもしれないと僕は思った。僕はきっと少し長くあの場所にいすぎたのだ。(2011.12.18)