『森と山からのメッセージ C・W・ニコルの自然記』C・W・ニコル

 読み始めてから三分の一ほどまでは、本を手に取ったとき期待したほど面白くなかったな、と思いながら読んでいたが、なおも読んでいるとだんだん面白くなってきて結果的にはそれなりに楽しめた。

 著者の自然観や自然との関わり、また自然と身近に暮らす中で使用する道具、あるいはかつての冒険話の思い出などが率直な言葉で綴られている。著者は自分のことを「頑固で、しかも猛烈に個性が強く、エキセントリック」と書いているが、その著者の個性こそこれらの文章の魅力だといえる。

 自然と深く関わって生きている著者の現代日本人(本の出版は1986年)への警鐘には耳を傾けよう。(2012.07.19)