2020年3月29日

植物や動物が美しいのは、彼らが自然の働きをそのまま現しているからだろう。彼らのありようから、はからいはほとんど感じられない。それに対して、僕たち人間ははからいの生き物である。これは、人間という弱い生き物が生き延びていくために必要なことだったのだろう。けれど、このはからいの心こそがまた人間の存在を苦しいものにもしているのである。このはからいの心が、人間を自己という狭い牢獄に閉じ込める。自分なんて、捨ててしまえばいい。捨てて、捨てて、捨てて、捨てて、ようやく僕たちは自然そのものを現すことができる。