2019-04-24から1日間の記事一覧

『グーテンベルクの鬚 活字とユートピア』大輪盛登

活字に携わった歴史上の人々を、著者の活字に対する愛情あふれる生き生きとした文章で紹介していて楽しい。紹介されている人物のそれぞれが魅力的だった。「なにか」に情熱を注ぐことのできる人生は美しい。 (2013.03.19)

三月十四日

最近は母が元気なので、僕のしていることは皿洗いぐらい。以前、今より家事をしていた時に思ったのは、人が生きるというのはいろんなものを汚すことなんだということ。服、食器、机の上、部屋。生活しているといろんなものが汚れ、散らかる。自分の外にある…

『ことばのびっくりばこ』村田栄一

もうこれは素晴らしい本。ぜひ手元に置いておいて、折に触れてページをめくり、本の中の子どもたちと一緒に言葉あそびの世界で遊びたい。僕がいつか置いてきたもの、今では作品を書くときにだけあらわれてくるような世界を身近に感じさせてくれる。 子どもた…

三月十二日

自分を否定するというのは以前考えていたよりもずるい行為なのかもしれない。そこには自分を見ているようで、実は自分から目を逸らす心理が働いているような気がした。 畳の部屋に母方の祖父母の遺影が飾ってある。のを見ながら、死ぬこと生きることの不思議…

三月十一日

この数日、何度か深い暗闇の底へ僕は沈んでいった。沈みながら僕は恐れを抱いた。と同時に、それとは別の意識はもっと深く沈もうとしていた。僕にははっきりと感じられた。この暗闇の底にはさらに深い闇が存在していると。(2013.03.11)

『うつ病を生き抜くために――夢と描画でたどる魂の癒し――』D・ローゼン

このユング派の大学教授の書いた本は、今の僕に大きな影響を与えた。 今、僕が直面している問題が深い過去の泉の底から浮上してきたのも、おそらく本書を読んだことと関係している。この本を読みながら、僕は自分の過去を見つめ、現在を見つめ、そして未来を…

三月十日

一人の男の、真っ白な腹が膨れて、弾けた。おびただしい血と奇怪な悪魔的な小動物(あるいは怪物)が飛び出した。あるものは羽を持ち、あるものは蜘蛛のような何本もの足を持ち、またあるものは口から牙をのぞかせていた。 男は草むらに倒れ、そこで息絶えた…

三月九日

暗くなり始めた夕暮。人ごみの中、僕は歩いていた。前には父が歩いている。しばらく歩いていくと、皆水路に入っていく。僕と父もそこに入ると、水の流れる滑り台みたいに水路に流されていった。水は、始めのうちしゃがむと頭が出るくらいだったが、徐々に深…