2019-04-14から1日間の記事一覧

『悪い恋人』井上荒野

最初、読み始めたとき、文章が古いな、と感じた。なんとなく昭和の作家の文章を読んでいるような。だから、そこにシステムキッチンとか携帯電話という言葉が出てくると、なんだか違和感があった。それも、しばらくすると慣れてしまったが。 物語は、主人公で…

五月二十日

どんな罰を受けたとしても罪は消えない。 あの頃自分が嫌ったものの中にこそ本当のことがあったということなんだろうか。 僕は弱かった。自分のことしか考えていなかった。 (2013.05.20)

映画『ミス・ポター』

愛する人を失う(それも突然に)というのは耐えがたい体験だと感じないわけにはいかなかった。 レネィ・ゼルウィガーという俳優は美人とかいうんじゃないけど、好きな俳優だ。 (2013.05.18)

映画『アイ・ラブ・トラブル』

気楽に見れる映画。嫌いじゃない。 芸術映画のつまらないのは二度見る気にはならないけど、こういう娯楽作品の場合、10点中5か6くらいだったりしても、なんか妙に心に残る部分があったりして、何年後かにテレビ欄にそのタイトルを見つけたとき懐かしさと…

五月十五日

僕の中にすべてはあった。過去も未来も、人間が生まれる前の記憶も、人間が去って後の景色も。 本当の人間は狂ってなきゃおかしい。日常でまともなんていうのは本物じゃないんだから。 告白にはしばしば甘えがのぞいている。 興福寺南円堂、北円堂の特別公開…

五月十三日

この世的に健康になるほど、魂は死んでる。 病院かもしれないし屋敷かもしれないしあるいはまったく別のなにかだったかもしれない僕はその何階かに秘密の場所を持っていたそれだった初めて明かされたのだがそこにいとこのHが入っていきというよりは落ち込ん…

五月十一日

鏡のなかの宇宙に 瞬時 ひときわ強く星が瞬いた 悪魔が足を滑らした 僕たちは無言で 向かい合って 話していた しばらくして 彼の左目から 煙が出だした いつか僕は 自分の欠片を集めることに 熱中した だが 欠片は欠片のまま散らばった 色々の場所で 光って…

『松本清張カメラ紀行』

世界諸国を訪ねたときに撮った写真と取材日記とからなる。 落ち着いた雰囲気のいい本で、写真も全体的に好ましかった。(2013.05.10)

五月九日

僕は元来出不精な人間だと思う。だからといって、あんまり家の中にばかりこもっているのもよくないだろう。 それで困るのは今日みたいに晴れた日だ。なんだか外に出なければいけないんじゃないかという思いにしきりに駆られる。出たくて出るならいいが、そう…

五月八日

太陽の熱が僕の凍えて縮まった体を少しずつ解いてゆく。畑や田んぼを眺めながら歩く。神社の石段を上る。鈴がカランカランとなる。猫が堂の影へと走りすぎる。僕は社務所の縁側に腰掛けた。木の葉がざわめいている。陽光が葉の隙間からちらちらとこぼれる。…