京都その2

    店内では店員たちが朝からきびきびと動き回っていた。俺はといえばまだ重い体を椅子に沈めていた。寝不足かカプセルホテルの狭い空間で寝たせいか。それとも風邪をもらったかもしれない。2日前に接した人から、風邪を引いたと連絡が来ていた。

    ホテル近くのチェーンの喫茶店。先に出されたコーヒー(最初の一口は格別だ)を飲みながら、注文したホットケーキを待つ。寝起きの何も入れていない胃にブラックはきつかったので、途中から少しミルクを注いだ。ミルクを入れてかき混ぜずにほっておくと、ミルクはまずコーヒーの中に潜りこみ、そこからまだらになってコーヒー全体にマーブル模様を描いて拡がっていく。その様子は美しい。

    ホットケーキがやってきた。ほんとはモーニング目当てで来たのだが、やっていなかった。運ばれてきたホットケーキは充分な厚みのあるものだった。味は、普段家でレンジで温めて食べるものと大差はない。

    ホットケーキを食べるときは、いつもバターだけで食べるか、蜂蜜やメープルシロップをかけて食べるかで迷う。生地にも甘みがあるのでバターの塩気と合わさればそれだけで美味しい。だが、甘い蜜にも魅力がある。この店でもメープルシロップがピッチャーに入れられて出てきた。どちらも味わいたい俺は、基本はバターだけで食べつつ、時々一口大に切り分けたホットケーキにシロップをかけて食べた。