安珠写真展 Invisible Kyoto ―目に見えぬ平安京―

    見に行こうと思ったきっかけは写真展のポスターの作品だった。人の頭部に蝶を重ねたコラージュの作品。岡上淑子風の作風で面白そうだなと思った。その後、チラシを見て自分の好みよりもポップな感じの写真展なのかなと期待値は少し下がっていたのだが、行ってみるととても充実した作品展だった。

    説話などを題材に現代の京都を使って平安京を夢想したような作品群は、見ている僕の想像力を刺激してくれた。何より写真そのものが良かったし、松本隆氏の詞書も写真の魅力を増してくれていると感じた。

    ここからは個別の作品の感想、といきたいところなのだが、現場でメモも取らずカタログも買わなかったのでそれができない。説話を題材にした作品では写真と詞書がいい相乗効果を発揮していた。また、「いいね!」マークと密教イメージを取り合わせた作品は表層的といえばそうなのかもしれないが、その軽い質感がむしろ面白かった。これは蝶獣戯画にもいえる。この表層的な感じにはコラージュという表現法のもつ良いところが出ていると感じた。

    と、この感想もまたえらく表面的なものになってしまった。僕が行った日は安珠氏のトークショー(僕は行っていない)のあった日で、会場でたまたま他のお客さんと写真を撮っている安珠氏を拝見したのだが、写真で見た彼女は美人という感じだったが、実際に見ると(気を悪くされるかもしれないけど)可愛らしいという印象の人だった。