映画『お早よう』

 長屋のような文化住宅で暮らす人々の人間模様。意図的に相手を誤解させるようなうわさ話を流す人がいたり、常によその家の目を気にしていなければならないような近所づきあいのある暮らしというのは、僕の目にはとても煩わしく感じた。ただ、そういう関係があることで人として鍛えられる、というかい成熟していくということはあるんだろうな。おまえは喋りすぎると怒られて、大人だって無駄なことばかり言ってると反抗して口を利かなくなる子どものエピソードが楽しい。それにしても、映画の登場人物が言っているように無駄なことが潤滑油になって社会をうまく回している側面はあるに違いない。大人の世界と子どもの世界についても少し考えてみたりする。成熟するってどういうことだろう。

 この映画はスケッチ風の喜劇で、見終わって人間の生活は愛おしいという気持にさせられた。こういう喜劇センスは好きだ。(2012.05.02)