癒される仕事帰りの豚まんに

昨日は、朝から先週抜いた親知らず跡の抜糸をしにN病院へ行った。抜糸はあっけない。三分で事足りる。たったそれだけのために一時間かけて病院へ行くのだ。

朝食を取っていなかったので抜歯後ひどくお腹が空き、外でご飯を食べることにした。カレー、和食、オムライス、いろいろ迷ったが結局ハンバーグを食べることにした。スマホで適当な店を探す。

昼食どきの洋食屋Mは賑わっていた。ハンバーグランチを頼む。カウンターで待つが、なかなか注文したものは来ない。来ない。来ない。やっと来る。

隣に母と娘らしき二人連れが座っていた。彼女らも長いこと待っていたが、待っているあいだ中娘らしき女性が自分の子どもの話をしていた。そして、ランチが届くと途端に話をやめ、結局そのまま食べ終えるまで彼女らは一言も交わさなかった。食べ終えるとまた普通に喋りだす。食事中は話をしないというルールのある家庭なのだろうか。

食後、D寺まで足を延ばす。特別開扉の観音様を拝んだ。堂内では母、娘、その息子であろう三人連れが僧による病気治癒の祈祷を受けていた。僧の声が冷たい堂内に響く。祈祷の終わるのを後ろの席に腰掛けて待ち、祈祷が終わってから彼らに続いて仏像を拝んだ。彼らが真剣に祈っている隣で、自分は鑑賞に来たのだと思うとなんとなく申し訳ない気がした。そのため自分も鑑賞というよりは祈るような気持ちで仏像と対面することになった。

D寺を後にし、スマホで見つけた狭い住宅街の中にあるパン屋へと歩いた。普段歩くことのない縁もゆかりもない土地を歩くのは不思議と楽しい。観光地でもなく、本当に偶然にしか歩くことのない土地。その土地にも人が住み、生活している。観光地では僕は観光客だったり旅行者だったりするが、そこではただの他所者である。