京都その1

    大晦日の夜のショッピングモールは普段よりも人出が少なかった。俺は映画が始まるでの時間潰しに店内をぶらついていた。映画館はショッピングモール内にある。店内には明るいのにこちらの気分を物悲しくさせる音楽が流れている。ショッピングモールというのは一人で過ごすにはなんとなく居心地が悪い。店内は家族連れや夫婦やカップル、友達同士といった人たちが多く、俺のように一人で来ている人は少ない。

    映画『アリー/ スター誕生』を見にきている客は、日も日だし、そのうえ夜の上映とあって、まばらだった。映画はダメ男と彼を愛した女の物語である。女は自己実現を果たしていき、男は闇に呑まれる。ありふれた物語。レディー・ガガはいわゆる美人ではないが充分に魅力的だった。