映画『オンネリとアンネリのふゆ』 雪国のファンタジー

 はたして俺にこの映画を心から楽しめる時期などあっただろうか? 

 児童文学が原作のファンタジー。雪景色は美しいし、オンネリとアンネリの暮らす家はキュートだし、物語も楽しいものなのだが、心から映画の世界に入り込めるような作品だったかというと、俺には無理だった。とはいえ、俺の前の席に座っていた小学6年生くらいの女の子は映画が終わった後、心から楽しそうな表情で母親と話していた。聡明で素直そうな女の子である。彼女は映画が始まる前から母親と楽しそうにおしゃべりをしていた。それ以外にも、親子連れは多かったが、小さな子どもたちには楽しめる映画だったのではないだろうか。俺も子どもの頃なら楽しめただろうか?・・・なんとなくだが、そうは思えない。

 物語は、オンネリとアンネリが住む家に小さな人たちが訪ねてくるところから始まる。彼らは、オンネリとアンネリが暮らす家にかつて住んでいたバラの木夫人を訪ねてきたのだ。なんでも、彼らの先祖が昔、バラの木夫人に家を建ててもらったのだが、彼らの住む森の木が伐採されて家が壊されてしまった。そこで再び家を建ててもらおうとバラの木夫人を頼ってきたのである。ところが、肝心のバラの木夫人は今は別の所に暮らしているため、彼女がやってくるまで小さな人たちはオンネリとアンネリの家に暮らすことになる。物語はその数日間?のちょっとした事件もありつつの生活を可愛らしく描いている。登場人物たちもリアルというよりは少し風変わりだったりしていかにも児童文学っぽい。しかし、それらが実写による映像という表現ではうまく表現しきれていない気がした。お話自体は楽しいものなので、これは映画よりは原作の小説を読んだほうがもっと楽しめたかもしれない。

 それにしても、自動車のガソリンをどうやっていれたのか、とか、自動車事故の時、赤ちゃんがよく無事だったなとか、魔法の薬で物体が大きくなったり小さくなったりするときの問題とか、気になるところはあったのだが、その辺はファンタジーなのでご愛嬌というところか。

 

 今日は、もう一つ『家へ帰ろう』という映画も見たのだが、二本目で疲れていたせいか映画自体の出来栄えのせいか、いまひとつピンとこなかった。人物の描き方も物語も深みが足りないというか掘り下げられていない感じがして、物足りなかった。

 


オンネリとアンネリのおうち (世界傑作童話シリーズ) [ クレンニエミマリヤッタ ]

 


オンネリとアンネリのふゆ (世界傑作童話シリーズ) [ クレンニエミ・マリヤッタ ]