五月八日

 太陽の熱が僕の凍えて縮まった体を少しずつ解いてゆく。畑や田んぼを眺めながら歩く。神社の石段を上る。鈴がカランカランとなる。猫が堂の影へと走りすぎる。僕は社務所の縁側に腰掛けた。木の葉がざわめいている。陽光が葉の隙間からちらちらとこぼれる。生温い風に揺すぶられて僕の輪郭はあいまいになってくる。熱気であり、光であり、影だった。(2013.05.08)