四月二十七日

 夜、ベランダに出ると、春の緑のむせるような匂い。涼しい風が吹いている。僕は五感でこの瞬間を味わう。体の奥から何かが込み上げてきて、目の下あたりがじんとする。生きたい、と僕は思う。世界は美しい、と思う。