『大型トラックに乗って』ジャン・マーク

 新しくやってきたトラック運転手の父リチャードとは、エミーはまだ堅苦しい関係だが、リチャードの配達の仕事についていくことになる。トラックで過ごす時間を通じてエミーとリチャードの関係が変化していく。エミーの心の中にリチャードを受け入れる場所が生まれる。そんな様子を会話から読み取っていくのが楽しい作品だ。

 母親譲りの心配性な性格のエミーを、多少強引とは思えるが、勇気づけるリチャードにも好感を持てた。最後はエミーの自立へ向けての小さな冒険が描かれるが、その際のエミーの心配事は――エミーと同じく心配性な自分には馴染み深いことばかりだった。

 やっぱり人は人によって――エミーにとってのリチャード――変わるのだろう。僕にもこんな出会いがあるんだろうか。(2012.06.18)