散歩

 ある日、近所の土手を散歩していると、急に左手に変なむずむずを感じて、見ると、親指がもそっと付け根から落ちていった。地面に転がった親指を危うく踏みつけそうになるのを避け、腰を曲げて落ちた親指を右手で拾おうとしたところ、今度は腰からごっそり離れ落ちてしまった。

 道に転がりながら、自分の下半身が空を背景に立ったままになっているのをぼんやりと眺めていた。(2010.11.10)