一月十日

 自己は既に実現している。それに気づくかどうかの問題。

 

 「だがーー」役人は一歩さがる。「あんたたちにとって私がどれほど重要なのか、ということもわかりませんし。あんたたちの芝居に私はふさわしくない」

 「ぼくらにはあなたは重要じゃない」と少年はこたえた。「でもぼくらの芝居にはどんな人でもふさわしいんです」(『鏡のなかの鑑』エンデ)

 

 人間だってしょせんは生物の一つにすぎない。人間が何をしようと地球にも、宇宙にも、なんてことはない。地球の温暖化を恐れているのは、放射能による汚染を恐れていいるのは地球じゃなくて人間だ。自然の歴史にとって人間の歴史なんてほんの一瞬の出来事でしかない。

(2012.01.10)