買い物のために外へ出ると雨が降っていた。少し前ならもう夜のように暗くなっている時間帯だったが、外はまだ夜になるのを躊躇してわずかな明るさをとどめていた。

    店の中は目がくらむほど眩しかった。客はあまりおらず、静かだった。どの人もどの人も顔に光が反射したかのように白くのっぺら坊で、その体はひどく薄っぺらでぐにゃぐにゃと揺らめいていた。買い物を続けるうちに人ばかりか周囲の景色までどんどん平面化していくのだった。眩しい白い光のもとで物の輪郭はだんだんと失われていき、私の眼に映る画像はどんどんきめが粗くなっていった。私はもはや買い物を続けることができなかった。物は輪郭と奥行きをほとんど失って、周囲はただ色の氾濫でしかなかった。私は手探りして店を出た。外は雨音が響いていた。もうすっかり夜だった。