枯れ木模様のある白壁のはなし

    ある住宅街の白い土壁に枯れ木の影が映っていた。その日は太陽が強く照りつけていたので、影は色濃くとても美しかった。枯れ木は自らの影を見て、その姿を壁に刻みたいと思った。自らはこの先朽ち果てていくだけだが、今自分の目の前にある影は力強く凛としている。枯れ木はこの姿を残しておきたいと天に願った。天は枯れ木の願いを聞き入れ、枯れ木の魂を白壁の影に移し替えた。影ははっきりと白壁に刻み込まれた。と同時に、枯れ木の姿は消えてしまった。