夢は自給自足

非社会的人間である俺にとって自給自足は夢である。社会に出たところでうまくやっていけるはずもない。それどころか周囲に迷惑をかけてしまう。

中学生、高校生の頃には山に住む仙人に憧れたし、ソローの『森の生活』を読んで俺もあんな生活をしたいと思ったものだ。ホームレスに本気でなろうと思ったこともあった。が、俺には覚悟がなかった。大学を何度も留年して出た後は実家に引きこもっていた。その後なんとか働き出したが生きづらさは変わらない。そして今また自給自足の夢がむくむくと膨らみ出している。

なんとなく自給自足のことをネットで検索していると、非電化工房なるものが自給自足のライフスタイルを体験できるボランティアスタッフを募集しているサイトを見つけた。興味を惹かれて見てみると、そこにはこう書いてあった。

「暗い人 協調性の悪い人 は 歓迎しません」

おお! ここでもまた俺は招かれざる客ではないか! 

俺のような人間は徹頭徹尾一人でやっていかなければならない。覚悟は決まった。