『THE SCRAP 懐かしの一九八〇年代』村上春樹

 おしゃれというんだろうか。都会的な雰囲気をまとった文体がなんとも心地良い。村上春樹の小説は『風の歌を聴け』と『海辺のカフカ』くらいしか読んでいないが、小説のほうは文体は好きでも、物語がちょっと合わない。それに比べて、このエッセイは素直に楽しめた。自分もこんなふうに頭を働かせて書けたらいいなあ。とても感じの良い文章で、感じが良いだけにちょっと気をつけなきゃなあと思うこともあった。(2012.07.10)