行い

ゆずる、起きやんと、という正徳の声に目を覚ました譲は、時計を見て自分がずいぶんと眠っていたことを知った。自分が思っている以上に疲れが溜まっていたのかもしれない。

譲は最近、神仏にはまっている。久しぶりの休みである今日は神像の展覧会を見に行くことにしていた。朝はゆっくりしたかったが、眠りすぎたせいで少し急がなくてはならなかった。軽い朝食を済まし、服を着替えると、歯を磨き始めた。鏡に映った自分を見て髪を整えなあかんなと思いながら歯を磨いていると、台所では正徳が譲の使った食器を洗い始めた。今、神さまに近いのは俺よりもずっとあいつの方やな。正徳が食器を洗う音を聞きながら譲は思った。