路地で

僕は立ち止まって世界を感じる。夜の始まりの細い路地のおもちゃ屋の軒でランプが煌々と光っている。どこかへ行く人、帰る人。人たちが通り過ぎていく。少し冷んやりとした空気。暖かな路地の雰囲気。心はどこまでも穏やかで、この世界と調和している。けれども、この気持ちがずっと長くは続かないことを僕は知っている。再び一歩を踏み出すと、僕の意識はとたんに一個の肉体に閉じ込められてしまった。