四月一日

 道路の両側の桜並木が満開。それは綺麗で空虚な景色。柔らかい日差し、カーステレオから思い出を呼び覚ます音楽が流れて、これ以上ないくらい薄っぺらな時間が過ぎていく。

 

 誰かが変わらないことじゃなくて、自分が変わらないことに怒れよ。

 

 そこに誰も座っていないベンチ、薄暮に包まれてぼんやりと照っている外灯、もう誰も遊ばなくなった遊具、伸び放題の草、何かを抱えた人たちしか立ち寄ることのない公園。あそこにもここにも影が落ちて、ひっそりとした呼吸の湿り気を帯びて、立ち上がる空間。

(2013.04.01)