舞踏

炎天下のワクチン接種会場へ、あなたの運転で運ばれていく。最近太り気味だというあなたの横顔。外に出ると諸々の思いを溶かしていく酷暑が皮膚にまとわりつく。ワクチン接種会場となった体育館の前面スクリーンには大きなデジタル時計が表示されている。ワクチンを打った人々はスクリーンの前に並べられたパイプ椅子に座り、接種後の待機時間を過ごしている。のっぺりとした時が流れていく。良いのか悪いのか分からない、もしかしたら悪いだけかもしれないワクチンを僕等は集団的に接種している。スマホが鳴る。LINEが来ている。接種会場を出て、再びあなたの車に運ばれていく。