冬の祈り

当然ながら冬は日が暮れるのが早い。ベランダに出ると肌に冬の空気があたる。それはとても軽やかだ。

四方を山に囲まれたこの小さな町の夜はそれほど暗くない。家々の灯り、コンビニや駅のホームの煌々とした明かりが透明な闇の底を照らしている。このちっぽけな空間に僕らは暮らしている。ここに僕ら人間の愛すべき生活がある。喜びや楽しみや分かち合いが。それと同時に憎しみや悲しみや奪いあいが。僕らは美しく、また醜い。有り余るほど物があり捨てられていく一方で、今日の食べ物にもありつけない人がいる。人間の知性は僕らにほんとうの幸せをもたらすことはできないのだろうか。あるいはその問題を解決するのは知性の領分ではないのかもしれない。願わくは、みんなが幸せでありますように!