返事

駐車場に止めた車の中で男は力なく言った。

「神さま、なんで俺なんか生んだんや? 俺はなんで生まれなあかんかってん? 俺が生きてることにどんな意味があるねん? 俺は間違ってばっかりや。どうしようもなく弱い人間や。人さまに顔向けできひんような人間や。最低のことをして、親も兄弟も裏切って、傷つけて、苦しめて。なんでこんな人間、生まれてきてん。なんで生まれてこなあかんかってん。生まれんかったら間違いもなかったんや。神さま、なんでやねん? 教えてや。」

男は返事を待ちながら眠ってしまった。車内は静寂に満たされている。夜は深まっていく。