彷徨

生きるってことは自分の愚かさを発見し続けていくことなんだろうか。田舎町の深夜の橋を一人歩きながら彼は思った。橋の下を流れる川の水音がいかにもきれいな音を立てている。彼には自分の人生が死に場所を求めて彷徨っているように感じられた。死ぬこともできず新たな自分の愚かさを見せつけられ、まともさをなんとか保つだけでくたくただった。いっそこんな生から早く解放されてしまいたいと彼は思った。彼はどうしても世の中と相容れない自分を感じていた。これは自分の宿命なんだと思ったところで彼にはそれを背負う強さなど自分にはとうていないような気がした。神さま、私の存在を消してください、と彼は何度も何度も心の中に祈った。橋を渡り終えると、先へ続く道路の両脇に並ぶ外灯のオレンジ色がもの悲しく夜を彩っているようだった。