四月十三日

 ビオンビオンビオン

 ビオンビオンビオン

 明け方、鳴るはずのない携帯電話の音で目が覚めた。何事かと机の上の携帯電話に手を伸ばすが、寝起きのせいと胸のざわめきのせいでうまく掴むことができない。

 と、父の声が聞こえた。

「お母さん! お母さん! 地震

 その声の直後、揺れ始めた。大きい。思わず布団にもぐりこんだ。そうしながらも、机の下に入り込むべきか頭をめぐらせている。

「大きいねえ!」と母の声が部屋の外でする。声のあいだも部屋は揺れ続け、やっぱり机に、と布団から出た頃にようやく揺れが収まってきた。

「淡路島! 震度六!」

 と父の声がしたころにはもう揺れは止まっていた。僕の胸はまだ少しそわそわしている。

<四月十三日、午前五時三十三分頃、淡路市震度六弱>(2013.04.12)